税務上の交際費等とは、「法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答等のために支出するもの」とされています。しかし、この得意先等に対する接待等のために要する費用であっても役員又は従業員の個人的費用の負担すべきものである場合には交際費ではなく、役員賞与又は、従業員給与となるため経理や決算では要注意です。
交際費と役員の個人的経費
役員の結婚式、結婚披露宴の費用は、損金とは認められない
Mホテルにおける代表取締役Tの結婚披露宴費用を交際費として会計処理したところ、当該費用は代表取締役Tの個人的費用であり、同人に対する賞与に該当する旨、課税庁が主張した。(京都地方裁判所昭和50年2月14日判決)
この判例では、役員等の結婚式は、本来私的行事であり、結婚披露宴は社会通念上私的行事と認識され、取引先及び同業者等を招待した事実が認められるとしても、結婚披露宴費用を事業遂行上の費用として法人が負担すべき理由はないものとするのが相当とされた事例です。
税務調査で個人的経費と指摘された場合には
このように取引先に対する経費であっても、本来個人で負担すべき費用を会社で負担してしまった場合には、その負担した額を従業員であれば給与、役員であれば、定期同額給与以外の給与となるので役員賞与となります。これを経済的利益といいます。この経済的利益を税務調査で指摘された場合には、従業員さんの場合には、交際費と給与と同じ経費項目となるため、会社の法人税などには影響はなく、この指摘された給与についての源泉所得税の納付漏れ分を追加で納付することとなります。この際に、追加で延滞税などがかかります。このような給与となる項目は、支払った時点で、給与として、給与計算に加味して源泉を行っておいたほうが、のちのちの税務調査も考えるとスムーズです。問題は役員です。役員賞与は経費になりませんので、役員の個人的経費を会社につけこんだ場合、役員賞与が源泉がかかり、役員賞与は経費とならないので、この誤って交際費として経理処理した金額に対する税金がかかります。特に同族会社の場合には、個人的経費が会社の交際費として処理されないように気を付けるべきでしょう。
決算や経理処理のための条文確認
上記のとおり、交際費には、給与とされるものがございます。こちらの規定についても あわせて確認をし、経理や決算で誤りのないように注意をしたいところです。
給与等と交際費等との区分
61の4(1)-12 従業員等に対して支給する次のようなものは、給与の性質を有するものとして交際費等に含まれないものとする。(平6年課法2-5「三十一」、平19年課法2-3「三十七」により改正)
(1) 常時給与される昼食等の費用
(2) 自社の製品、商品等を原価以下で従業員等に販売した場合の原価に達するまでの費用
(3) 機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの
会計と決算について学ぼう TOPへ戻る
---------------------------------------------------------------------------
サイト運営 会計と決算について学ぼう
渋谷の税理士|匠税理士事務所
当サイトの利用にあたっては注意事項をご覧ください。
---------------------------------------------------------------------------