前回は、会計や経理、消費税上の貸倒引当金関連についてご説明いたしました。
今回は、税金上の貸倒引当金の要件や、設定方法について解説していきます。
会計や税金の切り口の債権とは
金融商品会計上は、金銭債権を
①一般債権(問題等の発生していない債権)
②貸倒懸念債権(重大な問題が発生もしくは発生する可能性が高い債権)
③破産更生債権(実際に破綻した債務者の債権)の3つに区分します。
①は、現時点では貸倒の問題等は生じていないものの、過去の債権貸倒実績率等合理的な方法で貸し倒れを設定するもので
②は、個別に回収可能性を勘案し、貸倒見積高を計上します。
③は、回収見込高を差し引いた全額を貸倒見積高として、個別に計上します。
税務上の区分は
①が一括評価金銭債権
②、③が個別評価金銭債権となります。
金融商品会計と税務上の定義は若干の相違があります。
税法上の一括評価金銭債権
[平成23年6月30日現在法令等]
一括評価金銭債権とは、個別評価金銭債権を除いた債権です。
(1) 売掛金、貸付金
(2) 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料
未収保管料、未収地代家賃等又は貸付金の未収利子で益金算入されたもの
(3) 立替金(一部を除きます。)
(4) 未収の損害賠償金で一定のもの
(5) 保証債務を履行した場合の求償権
(6) 一定の受取手形
(7) 一定の先日付小切手で法人が一括評価金銭債権に含めたもの
(8) 工事進行基準を適用している場合の当該工事の目的物を引き渡す前の工事未収金
(平成20年4月1日以後に開始する事業年度)
以上が、代表的な一括評価金銭債権となります。
一括評価金銭債権については、広域な規定となっておりますので
自社の決算書をみて、資産項目があれば一括評価金銭債権として
貸倒引当金の設定ができるのではないかと検証してみる必要があります。
言い方を変えると
決算の際に気をつけなければならないのが
貸倒引当金を設定できない債権を計算に含めてしまい
貸倒引当金を過剰に設定していないか
また、債権から控除する金額を加味せず
誤って引当金の金額を計算していないかがポイントとなります。
次回は
一括評価金銭債権にはあたらない債権をみていきます。
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