6月30日公布された3党合意23年度税制改正法では、従来の税制の中の制度的杜撰さや逆用され易い欠陥を補強するものがいくつか目につきます。
A 中間申告制度のあり方の変更二つ
①前期確定法人税額が20万円以下では仮決算による中間申告書提出不可
②前期確定法人税額の半分以上とする仮決算による中間申告書の提出不可
中小企業の7割は赤字申告です。赤字決算しか予定されないのに、半期の仮決算を大きな黒字にして予定納税し、確定申告ではその全税額の還付を受け、還付加算金を取得する、という一種の資金運用がありました。これに封じ手が打たれました。
B 計算期間の変更で還付加算金の縮減
予納税額・中間納付額・相続精算課税の贈与税の還付加算金の計算期間を、還付決定後1ヶ月までの期間除外とし、通常の場合還付加算金は生じないようにしました。
意図的資金運用としての還付加算金の取得は前項で排除し、経営悪化での還付のケースも、予定納税等の減額手続きの意図的怠慢とみなして、還付加算金の取得が排除されることになりました。
C 消費税免税事業者判定の基準二重化
免税事業者判定には二つのハードルを越えなければならなくなりました。
①基準期間(前々年基準)の課税売上高が1,000万円以下
②特定期間(前年上半期基準)の課税売上高が1,000万円以下
消費税の基準期間主義の欠陥の補正です。課税売上が大きく変動する業種や大きな景気変動に見舞われている企業が影響を受けることになります。平成25年1月1日以後の開始事業期間から適用です。
D 消費税95%ルールの小規模企業限定
課税売上割合が95%以上の場合の全額仕入税額控除の制度は売上5億円以下の企業にのみの適用となりました。
そもそも、非課税売上に対応する仕入税額控除を拒否し、損税の発生を強要することは問題のある欺制であり、95%ルールがそれを緩和していたところです。
損税の強要の基準を5億円とするのは、卸小売、製造業では一桁低すぎる印象です。
平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用です。
とくにCについては、免税の期間が1年短くなるケースも想定されますので、注意が必要です。
また、還付加算金については、国の財政難もありこれからますます受けるのが難しくなりそうな傾向を踏まえた改正になっています。金融機関の超低金利に対して還付加算金の利率が高すぎるのも気になるところです。
今後も改正について取り上げていきたいと思います。それでは
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記事の一部はエッサムより引用しております。
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