会計検査院は、財務省と経済産業省に対して、中小企業減税の縮小に関する意見書を提出したとの報道がありました。
それによりますと、多額の利益を出している中小企業にもかかわらず、租税特別措置法の適用を受けていたり、資本金1億円以下の税法上の基準という理由だけで、軽減税率の適用を受けている中小企業が多いことを問題視しております。
会計検査院は、2008年4月から2009年3月までの1年間に終了した事業年度に係る確定申告書のなかから、1万1,033社の租税特別措置法の適用状況を調べました。
その結果によりますと、黒字法人5,430社中、中小企業向け特別措置の適用を受けたのは1,580社で、このなかには、所得金額が5億円を超える中小企業が196社もあるとのことでした。
また、税法上の大企業(資本金1億円超)の平均所得金額7億8,000万円を超す中小企業は92法人あり、所得金額10億円超が63法人、50億円超が9法人でした。
これら大企業並みの中小企業では、所得が多いほど純資産額も多く、かつ、過去3事業年度においても赤字を計上していない傾向があるとみております。
この点について、「過去も利益を着実に上げ、利益剰余金の形で蓄積していったことが推測される」と指摘し、財務体質が弱い中小企業を救う目的から外れているとして、特別措置の効果を検証し、適用範囲を見直すべきだとしました。
また、法人税についても、必ずしも税が負担できないとは認められない中小企業がみられると指摘しました。
例えば、資本金2,400万円で、売上高約15億円の中小企業が現預金78億円、有価証券97億円を保有していたケースが挙げられております。
会計検査院では、財務状況が脆弱とは認められない中小企業者が特例の適用を受けるのは制度の趣旨に沿ったものとはいえないとして、適用範囲について検討するよう意見表示しました。
平成23年の6月の税務申告より作成が義務付けられた租税特別措置法の適用額明細書は、こうした流れを踏まえてのものなのかもしれませんね。
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記事の一部はエッサムより引用しております。
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