印紙税は、日常の経済取引に関連して作成された各種の文書うち、課税物件表に掲げるものに対して課税される税金です。課税物件表に掲げられているものは、契約書、受取書、有価証券、手形、預金通帳などの文章で、作成された文章がこれら課税物件表に掲げられている課税文書に該当する場合にだけ課税されます。
請負契約か委任契約か
平成元年、消費税の導入とともに「委任状又は委任に関する契約書」は、課税物件表から削除され、課税廃止になりました。
この改正を受け、現在においても、業務に関する事務を他に委任する契約書が、課税廃止となった「委任に関する契約書」なのか、それとも引き続き課税文書とされる「請負に関する契約書」なのか、その判断はかなり難しい面があります。
もっとも、「請負」、「委任」というのはどのような契約形態のものを指称するのかという点について、もっぱら、民法等の私法上の概念に準拠して解釈されます。
民法における請負契約及び委任契約
請負契約の特徴は、有償が前提で、仕事の結果に対して報酬を支払い、仕事の内容に不備(瑕疵)があれば、当然に請負人は補修義務及び賠償責任を負います。
一方、委任契約の特徴は、有償の場合も無償の場合もあり、受任者は、委任の本旨に従って、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理しなければなりませんが、仕事の結果に対する責任を負いません。
請負と委任の区分の判断基準
以上、民法における「請負」と「委任」の法的効果の特徴点を挙げてみました。この特徴点から「業務に関する事務を他に委任する契約書」が「請負」か「委任」なのかを区分する場合の一つの判断基準になるとして、次のような考え方が示されています。
・「請負」
仕事の内容が特定していて、報酬の支払いが仕事の結果と対応関係があるもの。
・「委任」
仕事の内容が相手方の処理に委ねられていて、仕事の成否の有無にかかわらず報酬が支払われるもの。
例えば、データーの事務処理の委託を内容とする契約書であっても、データーの処理量と報酬の支払いが対応関係にあるものは「請負」に該当することになる、という判断です。
印紙税は貼り忘れの罰則もありますので、契約書が委任に当たると思っていたが、実は請負に当たるなどのケースもございますので判断には上記の内容を踏まえた十分な注意が必要です。
記事の一部はエッサムより引用しております。記事に関するお問い合わせはご遠慮下さい。判断は自己責任でお願いします。
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