匠税理士事務所では、
渋谷区や港区を中心にIT企業の税務会計サポートを行っております。
今回はIT事業のソフトウェアやアプリケーションの開発のうち、
お客様からの要望に基づいて個別で制作する受注開発案件についてまとめてみました。
受注案件の税務・会計上の取扱い
顧客仕様で個別に受注・制作・販売するスタイルは、
会計上では、【受注制作のソフトウェア】と呼ばれます。
受注制作のソフトウェアは日常においてプロジェクト別に原価計算し、
決算(月次決算)において仕掛品、売上原価を計上します。
原価の計上方法には、進行基準と完成基準の2つがあります。
【 完成基準を計上基準とした場合 】完成基準の場合は、成果物の提供が完了した段階で、
一度に売上や売上原価が計上されます。
これにより見積もりや進捗管理がいらないので高レベルな管理体制はいりませんが、
期末までに納期がない場合売上がゼロになってしまいます。
比較的受注制作のための期間が短い場合には、
このような完成基準でさほど問題がないのですが、
長期に及ぶ場合には適正な経営状態がわからなくなるというデメリットがあります。
【 進行基準を計上基準とした場合 】一方で進行基準では進捗に応じて売上が計上されるので、
安定的に業績を示すことができます。
ただし、進行基準は管理コストがかかるうえ、将来を予測した見積もりに依拠するので、
見積もりを誤ると会計処理・各種書類に大きく影響してしまいます。
法人税法においては、完成基準が原則とされ、
進行基準は任意に適用することが可能となっています。
会計上は成果の確実性といった要件が満たされない場合進行基準は適用されませんが、
法人税上は制作期間(1年以上)と請負金額(10億円以上)によって進行基準が強制適用となる可能性があります。
開発に入る前の提案費用は、受注できるか確実ではないため、
原価計算の対象には含まず、期間費用として処理します。
つまり提案が終了し開発がスタートするのは受注した段階と考えます。
しかし実際には契約書がすみやかに発行されない等、受注時期がはっきり把握できないこともあります。また、会社によっては提案活動もプロジェクト管理対象としていることもあるようです。
このように進行基準は業績がタイムリーにわかるのがメリットですが、
管理の手間と計算が複雑になるので、あまり中小企業では用いられず、
よほどの大規模・長期案件でなければ完成基準での計上が一般的です。
ソフトウェア販売以外の保守契約の取り扱い
ソフトウェア販売には、ソフトウェアやシステムそのものではなく、
その開発に必要なシステムエンジニアによる作業を提供する委託契約、システム・エンジニアリング・サービス契約とった保守契約があります。
取引の対象がソフトウェアとしての一定の機能を提供するものではなく、
作業としてのサービスであるので、完成基準や進行基準は適用されず、
役務提供の完了に応じて会計処理されます。
ただし実務上、システム・エンジニアリング・サービスといった保守契約の体裁を取りながらも、
ソフトウェアとしての一定の機能を有する成果物が給付の対象となるような取引については、上記の受注制作のソフトウェアに含まれます。
匠税理士事務所のIT企業向け税務会計サービス
匠税理士事務所では、渋谷区や港区を中心にIT業の方に向けて
会計のアウトソーシングや税務コンサルティングサービスをご提供しております。
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試算表の作成や税務申告書の作成など専門的なことは心配なので、
税理士などの専門家に任せたい。」
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